社会で活躍する剣道家その2~パナソニック剣道部吉村監督~
パナソニックへの入社理由
筆者:本日はお越しいただきまして本当にありがとうございます。吉村先生はいつパナソニックの入社されたのですか?
吉村監督:私がパナソニックに入社したのは平成3年になります。四国出身で地元の企業に就職するつもりだったのですが、現パナソニック会長の長榮さんが高校の剣道部の先輩で「うちに来ないか」と声をかけていただいたのがきっかけですね。
筆者:すごい、ご縁ですね。
吉村監督:はい。当時の実業団での剣道は仕事が忙しくなり、5年ぐらいしかできないないだろうと思っていました。
筆者:でも現在もこうやって総監督として続けていらっしゃいますね。
吉村:気が付いたらこうなっていましたね(笑)。パナソニックLS社は会社という面でも素晴らしく、剣道部にも理解があり、周囲の協力があって続けてこれた事に感謝ですね。
筆者:やはりお仕事と剣道部の活動を両立させるのは忙しいと思いますが、そのあたりはいかがででしょうか
吉村監督:そうですね、確かに忙しいですが、剣道があるおかげでメリハリがつくんですよ。今日は剣道部の練習があるから、こういう順序で仕事を終わらせて練習に間に合うようにとか、仕事で結果を出して剣道部を応援してもらえるようにしようとか。
筆者:タイムマネジメントですね!
吉村監督:はい、うちの限らず仕事がまず第一です。会社人として仕事を全うし、剣道人としても成長していくことを掲げています。そういう風にしていると周りも剣道部を応援してくれるようになって活動しやすくなります。
監督として
筆者:今は監督として剣道部をまとめる立場でいらっしゃいますが、選手時代と変わったことは何かありますか。
吉村監督:選手時代より結果に責任を感じるようになりました。私のマネジメントが良ければよい結果がついてきます、悪ければそれなりの結果しかついてきません。選手一人ひとりの性格や特徴を見てマネジメントすることは、本当にいい勉強になります。
剣道が役に立つとき
筆者:今回のイベントでは特に、剣道が社会や生活でどんなことをに役立つかということを子供たちに伝えたいと思っているのですが、実際に剣道が役に立ったことはありますか?
吉村監督:これは剣道だけではないですが、武道やスポーツの世界では理不尽なことがけっこうあります。社会もそうです。剣道をやってきたおかげで、少々理不尽な目にあってもめげないですね(笑)
筆者:確かにそうですね(笑)
吉村監督:それから会社に入って仕事をしていると、自分で意識して外に出ていかないと人間関係がせまくなりがちです。特にパナソニックは大きな会社ですから、自分の所属する部署の中でも人数が多いので、部署外で知り合いを作っていくのはけっこう大変です。でも剣道部にいるといろいろな部署、役職の方がいるので、上下、横、部署を超えたつながりができ、仕事のとき本当に助かるときがあります。
筆者:それはいいことですよね。
吉村監督:それから剣道部としていろいろな大会に行ったりしますと、様々な年代や業種の人と出会い、話すことで視野が広がりますし、それが仕事につながることもけっこうあります。剣道に感謝するところの一つですね。
お子さんたちに伝えたい事
筆者:今日このようなイベントを通して、お子さんたちに伝えていきたい事を教えてください。
吉村監督:まず剣道は生涯スポーツ、武道であることです。剣道は小さい子からおじいさんまで一緒に汗を流し、稽古ができる数少ない競技です。そして剣道を続けていってほしいと思っています。別にいつも試合の第一線でというわけではなく、週に1回稽古するだけでもいいのです。ブランクがあってもいいんです。細い糸でも剣道とつながっていてほしいです。剣道を続けているといいことが必ずあります。剣道は今では日本に限らず世界中で行われるようになってきました。その中で剣道を自分の人生を豊かにする手段として役に立ててほしいですね。
筆者:ありがとうございました。
剣道を続け、その中で出会う人々が人生を豊かにしてくれることを語ってくださった吉村監督。 剣道は人生をよくするための手段であるということ、 今回のイベントに参加したことで子供たちの人生が豊かになる一助となればと剣道プロへジェクトも願っております。